これは、私の友人の娘さんの身に実際に起きた出来事です
海外旅行へ向かう途中で起きた、思いがけないトラブル
そこで手を差し伸べてくれたのは、名前も知らない一人のお母さんでした
友人から話を聞き終わったあと、私はなんだか胸がいっぱいになり、しばらく心が温かいままでした
今回は、その出来事をご紹介したいと思います
韓国旅行へ向かう空港バスで起きたこと
友人の大学生の娘さんが、お友達と韓国旅行に出発する日のことです
空港行きのバスに乗り込み、いよいよ楽しい旅の始まり
そのはずでした
スマホがない
ところが、バスが走り出した直後、一緒にいたお友達が青ざめた顔で言ったそうです
「スマホがない」
慌てて位置情報を確認すると、表示された場所は、前日止まっていた娘さんのマンション
今の時代、スマホはただの電話ではありません
航空券も、地図も、支払いも、連絡手段も入っています
まして、これから向かうのは海外旅行です
二人が一瞬でパニックになったのも無理はありません
バスの運転手さんの冷静なアドバイス
そのやりとりを聞いていたバスの運転手さんが、二人に声をかけてくださったそうです
「次の停留所で降りて、スマホを取りに戻ったほうがいいですよ」
そして
「タクシーが一番早い」
とも教えてくれました
運転手さんのアドバイスを聞き、次の停留所でお友達はスーツケースと一緒にバスを降りることになりました
ところが、ここでもう一つ問題がありました
鍵を持っている娘さんも一緒に戻ろうとしたけれど
スマホがあるのは、前日泊まっていた娘さんのマンションです
お友達だけが戻っても部屋には入れません
娘さんは自分が家の鍵を持っているため、一緒にバスを降りてマンションへ戻るつもりだったそうです
しかし、それを聞いた運転手さんは、こんな提案をしてくれました
「あなたは先に空港へ向かったほうがいい」
きっと、二人とも戻るより、一人でも先に空港へ向かったほうが間に合う可能性が高いと考えてくださったのでしょう
突然のトラブルで慌てていた二人にとって、冷静に道筋を示してくれる運転手さんの言葉は、とても心強かったと思います
そして、このやり取りをそばで静かに聞いていた女性がいました
見知らぬママの登場
その女性も、自分の娘さんを空港バスに乗せるために来ていたお母さんだったそうです
もちろん、娘さんたちとは面識のない方です
この記事では、その方を『見知らぬママ』と呼ばせていただきます
その見知らぬママが、突然こんなふうに声をかけてくださったそうです
「よかったら、私がマンションの最寄りの駅まで連れて行ってあげる」
赤の他人です
しかも、大きなスーツケースを持った大学生の女の子
今の時代、知らない人に声をかけること自体、少しためらってしまうこともあります
親切にしたつもりでも警戒されるかもしれない
余計なお世話だと思われるかもしれない
それでも、その方は困っている娘さんたちを見て、『助けたい』と思ってくださったのでしょう
お友達は、その優しさに甘えることにしました
娘さんから預かったマンションの鍵を握りしめ、見知らぬママの車に乗せてもらうことになったそうです

おまけにスーツケースまで
さらに驚いたのは、このあとです
マンションの近くの駅に着くと、見知らぬママは
「ここで待っているから、スーツケースは車に置いて取りにいきなさい。身軽なほうが早いから」
と重いスーツケースまで預かってくださったそうです
スマホを取りに行く間、お友達はどれほど心強かったことでしょう
慣れないトラブルの最中で、荷物を抱えて一人で走り回らなくていい
「ここで待っていてくれる人がいる」
それだけでも、大きな安心になったのではないかと思います
スマホ回収。そして、さらに
無事にマンションへ戻り、スマホを見つけることができたお友達
その間、娘さんは運転手のアドバイスどおり、一足先に空港へ向かっていました
これで一安心
と思ったら、見知らぬママの親切はそれだけでは終わりませんでした
お友達がスマホを持って戻ってくると、今度は元の空港バスの停留所まで送ってくださったそうです
そして、お友達はそこから一人で空港バスに乗り、娘さんが待つ空港へ
無事に二人は空港で合流し、予定していた韓国旅行へ旅立つことができました
スマホを忘れたことに気づいた時には、きっと「旅行には間に合わないかもしれない」と不安になったことでしょう
それでも、バスの運転手さんの冷静なアドバイスと、偶然その場に居合わせた見知らぬママの行動のおかげで、二人は無事に旅を続けることができたのです

私が心が震えた理由
私は友人からこの話を聞きながら、何度も胸が熱くなりました
見知らぬママにとっては
『困っていたから手を貸しただけ』
そんな感覚だったのかもしれません
けれど、突然のトラブルで不安になっていた娘さんたちにとっては、きっと忘れられない出来事になっていたと思います
そして私が心を動かされたのは、見知らぬママだけではありません
突然のトラブルに冷静に対応し『どうすれば間に合うか』を考えてくれたバスの運転手さん
そして、困っている二人を見て、自分にできることを自然に行動に移した見知らぬママ
誰か一人だけではなく、その場にいた人たちが、それぞれ自分にできることをしてくれた
そのことが、私はとても素敵だと思いました
母としては、少し複雑な気持ちも
一方で、母親としてこの話を聞いた時、少し複雑な気持ちになったのも正直なところです
「知らない人について行ってはいけない」
「知らない人の車に乗ってはいけない」
私自身、子どもたちに何度も伝えてきた言葉です
だから、この出来事が自分の子どもの身に起きていたら…と考えました
『もし違う人だったら』
『もし悪意を持った相手だったら』
そう考えると、単純に「親切な人に出会えてよかったね」だけでは済まされない気持ちもあります
今回の出来事が無事に終わったからこそ言えることであって、知らない人について行くことや、知らない人の車に乗ることを勧めたいわけではありません
それでも…
人を警戒することも必要な今の時代に、目の前で困っている人を見て、迷わず手を差し伸べてくれた人がいた
だからこそ、その優しさがより心に残ったのだと思います
スマホがなかったら、と考えてみた
今回の話を聞いて、もう一つ考えたことがあります
今は、航空券やホテルの予約、地図、連絡先など、旅行に必要なものの多くがスマホの中に入っています
とても便利ですが、もしそのスマホを忘れたり、なくしたりしたら
今回のように海外旅行へ出発する直前だったら、かなり慌てるだろうなと思いました
私は海外旅行に一人で行くことはおそらくないので、一緒に行く人と必要な情報を共有しておくのも一つの方法かもしれません
航空券など必要なものは、お互いのスマホに入れておく
必要な画面はスクリーンショットを撮っておく
入国に必要な書類など、紙で持っておけるものはプリントアウトしておく
そんなふうに、スマホ一台にすべてを任せないようにしておけば、もしもの時に少しは安心できそうです
とはいえ、旅行のたびにそこまできちんと準備できるかと言われると、正直ちょっと自信はありません
でも今回の出来事を聞いて、「スマホがあるから大丈夫」と思い込まず、もし使えなくなった時のことを少し考えておくことも必要なんだなと思いました
私も手を差し伸べられる人でありたい
今回の話を聞いて、私自身のことも少し考えました
もし目の前に困っている人がいたら、私は見知らぬママのように自然に声をかけられるだろうか
知らない人に声をかけるのは、意外と勇気がいるものです
「余計なお世話かな」
「声をかけないほうがいいかな」
そう考えて、通り過ぎてしまうこともあるかもしれません
でも、何か大きなことをしなくても
「何かお手伝いできることはありますか?」
そんな一言なら、私にも言えるかもしれません
困っている人を見かけた時に、ほんの少し」立ち止まってみる
そして、自分にできることがあれば手を差し伸べる
私もそんな人でありたいと思いました
まとめ
スマホを忘れたことから始まった、思いがけない出来事
バスの運転手さんの冷静なアドバイス、そして見知らぬママの行動のおかげで、娘さんたちは無事に韓国へ旅立つことができました
もちろん、知らない人について行くことには危険もあります
だからこそ母親としては複雑な気持ちもありましたが、それでも今回、困っている人を見て迷わず行動してくれた方がいたことに、私は心を動かされました
そしてもう一つ、スマホに多くのものを頼っている今だからこそ、『もし使えなくなったら』と考えておくことも大切なのだと気づかされました
人の優しさと、もしもの時への備え
友人から聞いたこの出来事は、私に二つのことを考えさせてくれました
私もいつか誰かが困っている時に、そっと手を差し伸べられる人でありたい
この話を聞いた日から、そんなことを時々考えています

