子育て中、突然訪れた失明の危機

思うこと、いろいろ

41歳の時、私は突然「このままだと失明します」と告げられました

当時は3人の子育ての真っ最中

まさか翌日に入院し、網膜剥離の手術を受けるとは思っても見ませんでした

これは、そんな私の体験談です

その日は突然やってきた

41歳のある朝、いつものように目を覚ました私は、右目の異変に気づきました

視界の一部が見えないのです

最初は、頬に大きなこぶか何かができて、それが邪魔をしているのだと思いました

見えない部分が肌色っぽく見えたからです

慌てて手で触ってみましたが、何もありません

洗面所の鏡で確認しても、やはり何もないのです

その時初めて、「これは視野が欠けているのではないか」と思いました

不思議なことに痛みは全くありませんでした

眼科で優先的に呼ばれた

とりあえず眼科へ行こうと思い、かかりつけの眼科を受診しました

その日も待合室はたくさんの患者さんで混み合っていました

受付で症状を訴え、なんとか席に座ったのですが、しばらくすると先に待っていた患者さんよりも早く診察室へ呼ばれました

「あれ?もしかして大ごとなの?」

そんな嫌な予感が頭をよぎりました

診察結果は予想以上のものでした

「網膜剥離を起こしています。手術が必要です」

さらに、

「総合病院を紹介しますので、今すぐ行ってください」

と言われました

私は驚いて、

「手術を受けなかったらどうなるんですか?」

と尋ねました

先生の答えは簡潔でした

「自然には治りません。失明します」

頭が真っ白になりました

当時、私は3人の子供を育てていました

毎日が慌ただしく、自分のことは後回しの生活でした

失明するかもしれない

とにかく今は自分を優先するしかないと思いました

子供たちの世話

手術となれば入院になるし、その間、子供たちのごはんやお弁当作りはどうしようと思いました

でも、実家の両親に子供たちのことをお願いするしかないのでそうしました

全面的にお任せしました

職場にも連絡をしてしばらく休ませてもらうことになりました

手術方法の説明を受ける

紹介された総合病院を受診すると、正式傷病名は『右裂孔原性網膜剥離』でした

そして翌日に入院・手術を行うことが決まりました

医師からは手術方法の説明がありました

私の場合は、網膜の穴の周囲を凝固し、シリコンのゴムで縫う方法で対応できる、

そのシリコンのゴムは、感染しない限り、一生取り除く必要はないということでした

術後に長期間うつ伏せで過ごさなければならない可能性は低いと聞き、少しだけホッとしたのを覚えています

ただ、局所麻酔での手術と聞いて怖くなり、全身麻酔をお願いしてみました

しかし、全身麻酔の手術枠は限られており、そうすると手術日が先になってしまうとのことでした

網膜剥離は早く手術をすることが大切です

覚悟を決めて、局所麻酔で受けることにしました

左右確認でヒヤッとした

そして迎えた手術当日、

手術室に向かう前に、病室で緊張を和らげるための注射を受けました

筋肉注射だったと思います

おかげで少し気持ちが落ち着いたように思います

その後すぐ看護師さんが押してくれた車椅子で手術室に向かいました

すると手術室の入り口で、

「左目ですね」

と確認されたのです

注射のせいでぼーっとしていた私は、少しだけ頭をクリアにして、慌てて、

「違います!右目です!」

と答えました

それは本当に怖かったです

確認は本当に大事と思いました

その後、執刀医の先生からも改めて「右目です」と確認があり、ようやく安心しました

局所麻酔でも大丈夫だった

そして先生が目の下に局所麻酔を打ちました

痛みよりも、麻酔の液がじわっと入っていくような不思議な感覚が印象に残っています

局所麻酔と聞いた時はとても怖かったのですが、おかげで手術中の痛みは全くありませんでした

手術中は先生方の会話が聞こえていました

眼科の裏話のような雑談も聞こえてきて、思ったよりもリラックスして受けることができました

自然と涙がこぼれた

そして手術が終わり、車椅子で病室に戻る途中のことです

なぜだかわかりません

自然と涙がこぼれました

失明を免れた安堵だったのか

無事に終わった安心感だったのか

自分でもわかりません

ただ、ほっとしたことだけは確かでした

術後、やはり子供たちが気がかり

その後病室に戻ると、次は子供たちのことが心配になりました

手術が終わったら電話をする約束をしていたこともあり、病室では他の入院患者の方に失礼という私なりの配慮から、病室から出て電話をしました

すると看護師さんから注意を受けてしまいました

今思えば術後に一人で歩くなんて当然ダメだったのですが、その時の私は少しショックでした

それだけ子供たちのことが気になっていたのだと思います

入院中の生活

入院中は、目が疲れることもあり、ほとんど寝ていました

薬のせいもあるのか、すごくよく眠れました

今までの仕事と子育ての疲れも溜まっていたのか、食事以外はほとんど寝ていました

術後の経過は良好だった

幸い視力は回復し、日常生活に大きな支障はありませんでした

しかし、シリコンのゴムの影響なのか、目を横に動かすと引きつるような感覚があり、頭痛を引き起こすこともありました

そのため横を見る時は目を動かさず、首ごと向きを変えるようにしていました

仕事は退院してから10日ほどで復帰しました

事務作業なので、無理をしなければ大丈夫とのことでした

車の運転は1ヶ月後ぐらいにしました

首ごと左右を確認するのは、少しずつ慣れていきました

それも3ヶ月後ぐらいには、そこそこですが普通に運転できるようになりました

違和感が消えるまで7〜8年

ただ目を左右に動かすのはまだ引きつる感じがして一瞬の頭痛を感じていました

だんだんその痛みは少しずつ減っていくのですが、

完全に違和感がなくなるまでには7〜8年かかりました

人それぞれだと思いますが、私は長かったです

それでも、見えることへの感謝の方がずっと大きかったです

コンタクトレンズとの付き合い方

私は高校生の時からハードコンタクトレンズを使用していました

手術後も使用できると言われましたが、何となく怖くなり、しばらく眼鏡で過ごしました

目に異物を入れることに抵抗があったのです

この後コンタクトレンズを使用することになるのは、それから10年後の老眼で困った際の遠近両用コンタクトレンズです

原因と気をつけていること

原因

原因については、強度の近視の人は網膜剥離を起こしやすいと手術前に説明を受けました

ただし、はっきりした原因は特定できないそうです

今振り返ると、20代前半に飛蚊症と診断されたことがありました

網膜剥離の前兆として飛蚊症が悪化することもあるそうですが、私自身は今回そのような変化を感じませんでした

だからこそ、突然の出来事だったのです

網膜剥離は特別な病気だと思っていましたが、私自身が経験して決して他人事ではないと感じました

もし突然視野が欠けたり、見え方に異変を感じたりしたら、どうか様子を見ずに眼科を受診してください

私は幸運にも早期発見・早期治療ができました

今もこうして見えていることに、心から感謝しています

私はこう気をつけています

網膜剥離を完全に防ぐ方法はないと言われていますが、私自身はそれ以来、定期的に眼科を受診するようになりました

また、目を強くこすらないことや、見え方に異変を感じたら早めに受診することを心がけています

強度近視の方は特に定期検診を受けておくと安心かもしれません

50代になった今、思うこと

あれから10年以上が経ちました

子供たちは成長し、私は50代になりました

老眼に悩んだり、体のあちこちに年齢を感じたりすることもあります

それでも、あの日のことを思うと「今日も見えている」という当たり前の日常のありがたさを改めて感じます

この体験は、10年以上前のことであり、現在は医療技術や治療方針も変わっているかもしれません

実際に治療を受けられる際は、主治医の先生の説明を参考にしてください

それでも、突然視野が欠けた時の不安や、手術後に自然と涙がこぼれた時の気持ちは今でも忘れられません

私のことなど覚えていらっしゃらないと思いますが、手術をしてくださった先生をはじめ、お世話になった医療スタッフの皆様に心から感謝しています

また、突然の入院にもかかわらず、子供たちの世話を引き受けてくれた両親にも改めて感謝しています

あの時、たくさんの方に支えていただいたおかげで、今こうして見えている毎日があります

本当にありがとうございました

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