デジタル化の波は、誰にでも優しいとは限らない
そう実感した出来事がありました
先日、80代の両親が二人で楽しく出かけた際の時のことです
その時の話を聞いて、私はとても切ない気持ちになりました
道の駅で起きた出来事
私の両親は、あまり出かけることはありません
ずっと家にいてテレビを見たり、本を読んだりして過ごすタイプです
そんな二人にも、楽しみにしていることがあります
それは、道の駅巡り
といっても、遠くまで出かけるわけではなく、近場の道の駅へ買い物に行くのがほとんどです
その日二人で道の駅へ出かけ、お昼時になったので、食事処でご飯を食べることにしたそうです
高齢者に最近の複雑な券売機は難しい
最近は食券を券売機で購入するお店が増えましたよね
ところが、その券売機が思った以上に複雑だったそうです
キャッシュレス決済に対応しているため、画面にはたくさんのボタンが並んでいます
現金で支払う場合でも、どこを押せばいいのか分かりにくい
しかも、その日は大混雑
何分も並んで、ようやく順番が回ってきた頃には、後ろには長い行列ができていました
「早くしないと…」
そんな焦りもあったのでしょう
高齢になると、画面の文字も理解するのに時間がかかります
後ろには人が並んでいる
早く操作しなければならない
そう思えば思うほど、余計に焦ってしまいます
なんとか母が食べたかった親子丼だけは購入できました
でも、父が注文したかったカレーライスまでは買えず、結局もう一度、最後尾に並び直したそうです
その話を聞いて、私は胸が締めつけられる思いになりました
単に昼食が食べたかっただけなのに
両親は、どうしてもここの親子丼が食べたかったわけでも、カレーライスが食べたかったわけでもありません
ただ、お昼になってお腹が空いた
二人で「お昼ごはんを食べよう」と思った
それだけなのです
でも、なかなか食べることができなかった
食券をスムーズに買うことができなかったからです
高齢者には難しくなってしまった社会の仕組みに、私はなんとも言えないモヤモヤが残りました
便利になることは、もちろん素晴らしいことです
でも、時代の流れについていくのは、誰にとっても簡単なことではないのだと思います
聞けばよかったのに
その話を両親から聞いた時、私は思わず
「店員さんか、後ろに並んでいる人に聞けばよかったのに」
と言いました
でも、よくよく聞いてみると、店員さんはとても忙しそうで、声をかけられるような状況ではなかったそうです
そして、知らない人に声をかけるなんて、そんな余裕もなかったとのこと
確かに、私もよく考えてみると、後ろにたくさんの人が列をつくっている状況で、
「すみません、教えてください」
と声をかけるのは、勇気がいることだと思い直しました
「迷惑をかけたくない」
「早くしなければ」
そんな気持ちが強くなり、余計に焦ってしまう
80代の両親の気持ちは、とてもよく分かるような気がしました
それは50代の私にとっても
実は、この気持ちは私にもよく分かります
私はキャッシュレス決済も使いますし、時間をかけてゆっくり画面を読めば、ほとんどの券売機は操作できます
でも、後ろに長い列ができていると話は別です
「早くしなきゃ」
その気持ちだけが先走り、普段なら読める画面の文字も、頭に入ってこなくなることがあります
券売機やセルフレジ
キャッシュレス決済そのものは使えるのですが、初めて見る券売機やセルフレジでは
「あれ? 次はどうするんだろう?」
と、手が止まることがあります
そんな時、私は近くの方に
「すみません、ちょっと教えていただけますか?」
とお願いするようにしています
説明が早すぎて、結局よく分からないこともあります
それでも、多くの方は親切に教えてくださいます
レストランやカフェでのタブレット
最近のレストランやカフェでは、タブレットから注文するお店も増えました
これなら、注文内容を自分で確認できますし、聞き間違いもなく、間違いなく注文できるという点では、とても便利な仕組みだと思います
でも、50代の私でも、たまに難しいと感じることがあります
「これで注文するのは、高齢者の方はどうするんだろう」
と思いながら、私の場合は時間をかければ、なんとかできます
ファストフードのセルフレジ
ファーストフード店などでも、注文から支払いまで、自分でするところが増えてきました
友人と一緒のときは
「これどうするんだろう?」
「次はこっちかな?」
などと、うだうだ言いながら、なんとか頑張って挑戦します
でも、一人のときは少し自信がありません
そんなときは、無理をせず、店員さんと対面で注文するようにしています
20代のわが子世代
一方で、娘や息子の世代は、小さい頃からゲーム機やスマートフォンに触れて育ってきました
初めて見る券売機やセルフレジ等でも、画面を少し見ただけで
『こういうことね』
と理解し、あっという間に操作してしまいます
私の場合は、老眼で見えにくい文字を一つ一つ読んで、内容を理解してからでないと操作できないこともあります
この違いは、けっこう大きいなと感じます
わが子に教えてもらいながら覚えたいのですが…
なんといっても、20代の子供たちは心強い味方です
とにかく何でもできるので、一緒にいる時は、できる限り教えてもらいながら、自分で操作したいと思っています
ところが…
私が操作していると、トロすぎて待っていられないのでしょうか
子供たちは、どんどん先にやってしまいます
『私は練習したいのに!』
と思うのですが、あまりにも早すぎて、結局よく分からないまま終わることがほとんどです
これでは、いつまでたっても上達しません(笑)
80代になると、さらに…
そして、80代になると、さらに状況は厳しくなります
そもそも、どこから始めればいいのか分からない
画面をタッチするだけでいいのに、普通の押しボタンのように、グッと力を入れて押してしまう
そんな場面も少なくないそうです
私たち50代にとっては『少し考えれば分かること』でも、80代の両親にとっては、そうではないのです
世代別にまとめると
私なりに、世代別にまとめてみました
80代 → じっくり読んでも分かりにくい。なかなか操作できない
50代 → ゆっくり読めば分かる。でも、急かされるとパッとはできない
20代 → 読まなくても、なんとなくできてしまう
こうやって並べてみると、面白いような、ちょっと切ないような…
『私ももう少し頑張らなくちゃ』
と思います
でも同時に、
『できないことがあっても仕方ない』
とも思うのです
これから大切なこと
デジタル化は、これからもどんどん進んでいくでしょう
便利になることは素晴らしいことです
でも、その便利さについていけず、困っている人がいることも忘れてはいけないのかもしれません
80代の両親だけではありません
50代の私も、初めて見る機械の前では戸惑うことがあります
だから私は、困った時には素直に人を頼ろうと思います
「すみません、教えていただけますか?」
そう言える勇気を持っていたい
そして反対に、券売機やセルフレジの前で困っている人を見かけたら
「お手伝いしましょうか?」
と自然に声をかけられる人でいたい
そんな小さな思いやりが、デジタル化が進む時代だからこそ、ますます大切になっていくような気がしています
誰もが何でもできるわけではありません
分からないときは、誰かに助けてもらう
そして、困っている人がいたら、今度は自分が助ける
そんなふうに、お互いに支え合える社会になればいいなと、心から思います
