小学生の頃から、長い間悩まされてきた片頭痛
私は40代になるまで、頭痛は薬を飲んで我慢するものだと思っていました
そんな私が、あるテレビ番組をきっかけに、片頭痛は病院で治療を受けられるものだと知りました
『片頭痛とわたし①』では、子どもの頃から続いていた片頭痛のつらさかや、病院を受診するまでの出来事を綴りました
今回は、実際に治療を始めてからのこと、そして月1回の予防注射によって私の生活がどのように変わったのかをお話ししたいと思います

まずは片頭痛を予防する薬から
本格的な治療を始めて、まず処方されたのは、片頭痛が起こる回数を減らすために毎日飲む予防薬でした
飲み続けるうちに、片頭痛の回数は多少減ったように感じました
ただ、大きく減ったというほどではなく、その後も片頭痛は繰り返し起きていました
予防薬とは別に、片頭痛が起こったときに飲む薬も処方されていました
その後も長く通院を続けるうちに、私の飲む薬は少しずつ変わっていきました
初めの頃に処方されていたのは、先生から「片頭痛が起こりそうだな」と感じた段階で、痛みが本格的に始まる前に飲むように指示されていた薬でした
そのタイミングでうまく飲めたときには、頭痛がひどくならず、軽い痛みで済むこともありました
ほんの少し感じていた痛みが、そのままなくなってしまうこともありました
ただ、いつでも同じように効くわけではありませんでした
飲むタイミングが少し遅くなり、すでに頭痛が始まってしまってからでは、薬を飲んでも痛みが残ることがありました
そのため私にとっては、「いつ飲むか」もとても大切でした
その後は、片頭痛がすでに起きてからでも飲める薬を処方してもらうようになりました
この薬は驚くほどよく効くことがあり、飲んで30分ほどすると、それまでの痛みがピタッとなくなることもありました
長く治療を続けていたので、新しい薬が使えるようになったのか、私の症状に合わせて先生が変更してくださったのか、詳しいことは分かりません
ただ、私にとっては「片頭痛が起きたら薬を飲む」という治療が、長い間、生活の一部になっていました
アプリで頭痛を記録するように
また、片頭痛が起きた日や痛みの強さ、薬を飲んだ日などを、スマホのアプリに記録するようになりました
記録を続けることで、いつ、どのくらいの頭痛が起きていたのかを振り返ることができます
診察のときにも、自分の記憶だけに頼らず、記録を見ながら先生に症状を伝えられるので、とても役に立ちました
吐いてしまうほどの激しい発作
40代半ばの頃が、片頭痛が一番つらかった時期かもしれません
私の片頭痛は吐き気を伴うことが多く、ひどいときには食べたものを吐いてしまい、水分さえ受け付けなくなることがありました
脱水状態になり、フラフラになりながら脳外科へ行き、点滴を受けることもありました
点滴を受けると頭痛は治まっていくのですが、吐き気は反対にどんどん強くなっていくのです
当時の私は、点滴の薬が強すぎて吐き気がひどくなっているのではないかと思っていました
その吐き気は、点滴が終わってからもしばらく続き、吐いてしまうこともありました
ところが、その吐き気が治まると、何事もなかったかのようにケロッとしているのです
そんな私の姿を見た周りの人からは
「本当に片頭痛で間違いないの?」
と心配されることもありました
もちろん、必要な検査も受けていますし、私はかかりつけの先生を信頼して治療を続けていました
薬を飲むタイミングが大切だった
初めて点滴を受けたとき、先生から言われたのが
「痛みが強くなってからではなく、早めに薬を飲むこと」
でした
この頃には、以前と違い、片頭痛が起こってから飲む薬に変わっていました
ただ、仕事中などは、なかなかすぐに薬を飲めないこともありました
「もう少し大丈夫かな」
そう思って我慢しているうちに、どんどん痛みが強くなってしまうこともありました
そこで、職場の方にも片頭痛について理解していただき、症状を感じたら早めに薬を飲むようになりました
それを意識するようになってからは、吐いてしまうほどのひどい発作になることも減りました
私の場合、薬そのものだけでなく、飲むタイミングも大切なのだと実感しました
それでも、片頭痛そのものが起こらなくなったわけではありません
その後も発作のたびに薬を飲んでいましたが、次第に薬を飲む回数も増えていきました
そんな中、先生から新しい治療薬として注射薬を勧められました
未来が開けた注射薬との出会い
片頭痛が起こるたびに薬を飲む生活を続けていましたが、次第にその回数も増えていきました
そしてある日、先生から注射による治療を勧められました
発作時に飲む薬の回数が増えていたことから、注射による治療の対象になるという説明でした
薬をいつも持ち歩いていた日々
それまでの私は、片頭痛が起きたときにすぐに薬を飲めるよう、外出するときも、仕事に行くときも、必ず薬を持ち歩いていました
薬が手元にないと、それだけで落ち着かない気持ちになりました
バッグの中に薬が入っているか何度も確認し、忘れてしまった日は、出先で発作が起きないか不安で仕方がありませんでした
「今日は大丈夫かな」
「途中で片頭痛が起きたらどうしよう」
楽しい予定があっても、心のどこかでは常に発作のことを考えていました
いつ片頭痛が起きるかわからない不安を抱えながら過ごすことが、いつの間にか当たり前になっていたのです
実際に頭痛が始まると、どんなに楽しい場所にいても、「早く家に帰りたい」と思ってしまいます
横になって、光や音を避けながら、ただ静かにしていたい
そんなときの私にとって、布団の中だけが、唯一の避難場所でした
怖かった自己注射への挑戦
先生から注射による治療を勧められたとき、注射は病院で打ってもらう方法と、自宅で自分で打つ方法があると説明を受けました
でも私は、自分で自分に注射を打つなんて、とてもできないと思いました
先生からの説明が終わると、注射について詳しく説明を受けるため、別室へ案内されました
そこで看護師さんから、病院で打ってもらうか、自分で打つ練習をするかを尋ねられました
私は迷わず
「病院で打ってもらいたいです」
と答えました
すると、看護師さんは少し意外そうな様子でした
「皆さん、自宅で自分で打っているんですか?」
そう尋ねると、病院で打ってもらう人もいるけれど、自宅で打っている人の方が多いとのことでした
それを聞いて
『みんな自分で打っているなら、私にもできるかな』
と思いました
もちろん怖さはありましたが、それなら私もやってみようと思い、自己注射の練習をすることにしました
看護師さんのに教えてもらいながら、病院で練習をしたのは2回です
3回目も病院で打とうか少し迷いましたが
「もう自分でできるかな」
と思い、2回で練習を終えることにしました
注射を打つ数秒間が長く感じた
自宅で自分で注射を打つようになりましたが、自己注射にはもう一つ、つらいことがありました
それは、注射そのものの痛みです
打ち始めてから終わるまで、ほんの数秒間
「早く終わって」
そう思いながら、じっと痛みに耐えていました
たった数秒なのに、痛みがあると、その時間がとても長く感じられるのです
それでも、回数を重ねるうちに、自分で注射を打つことには少しずつ慣れていきました
注射を打ったあとの体調と私なりの工夫
注射を打つときの痛みだけでなく、私にはもう一つ気になることがありました
それは、注射を打ったあとの体調です
副作用だったのかどうかは分かりませんが、私の場合は、注射を打つと毎回気分が悪くなり、半日ほど寝込んでいました
そこで、私なりに考えたのが、注射を打つ時間を変えることでした
寝る前に注射を打てば、気分が悪くなる時間を寝ている間に過ごせるのではないかと思ったのです
実際に寝る前に打つようにすると、翌朝はまだ少し気分の悪さは残るものの、仕事を始める頃には普段通りの体調に戻っていました
それからは、注射を打つときは寝る前にするようにしました
注射を始めて、片頭痛が大きく減った
注射による治療を始めてから、私の片頭痛は驚くほど減りました
それまでは月に10回以上あった片頭痛が、月に1〜2回程度になったのです
中には、ひと月の間に一度も片頭痛が起こらないこともありました
長い間、片頭痛があることが当たり前だった私にとって、これは本当に大きな変化でした
それまで不安を感じていたの友達との外出やイベント、旅行なども、以前より安心して計画を立てられるようになりました
特に旅行では、片頭痛の心配をせずに楽しめることが、何より嬉しかったです
片頭痛のことを考えずに過ごせる日が増えたことで、私の生活は大きく変わりました
効果は大きかったけれど、注射薬は高額だった
片頭痛が驚くほど減り、私にとって注射による治療は本当にありがたいものでした
ただ、この注射薬は高額なものでした
当時、健康保険の3割負担でも、注射1回につき約13,000円かかる薬でした
注射は月に1回
3ヶ月分をまとめて処方してもらうこともありました
片頭痛の予防にこれほど効果を感じられた一方で、治療には高額な費用がかかることも知りました
※記載した金額は当時の目安です。実際の自己負担額は、薬の種類や時期、保険の条件などによって異なります
注射による治療を終えて、今思うこと
約1年半続けた注射をいったん中止
注射による治療を始めてから、約1年半が経ちました
その頃には片頭痛の回数もかなり減り、そろそろ注射を続けるかどうか、考える時期になっていました
一度、注射をやめてみてもいいのではないか
そう思うようになり、先生と相談して、いったん注射を中止することにしました
先生からは、注射をやめると再び片頭痛が増える可能性もあるけれど、そのまま起こらなくなる人もいると説明を受けました
そのため、もし再び片頭痛が頻繁に起こるようになったときに備えて、注射薬を1本、手元に残しておくことになりました
それでも、注射をやめることに大きな不安はありませんでした
すでに片頭痛はかなり減っていたので、もし再び起こるようになっても、以前ほど頻繁には起こらないのではないかと思っていたからです
それでも、実際にやめてみないと分からないという、少しの心配はありました
こうして、1年半続けた注射による治療をいったん中止し、様子を見ることにしました
注射をやめたあとも、片頭痛は少ないまま
実際に注射をやめてみると、以前のように頻繁に片頭痛が起こることはありませんでした
現在は、月に2〜3回ほど片頭痛が起きています
それでも、以前のように月に10回を超えていた頃と比べると、ずいぶん少なくなりました
そして最近は、回数だけでなく、痛みそのものも以前より軽くなってきています
月に2〜3回ほど頭痛を感じることはありますが、「これなら薬を飲まなくても大丈夫かな」と様子を見ているうちに、そのまま痛みが引いていくこともあります
少し痛みが強くなってきたときには薬を飲みますが、今では薬を飲んでから30分ほどでおさまることがほとんどです
片頭痛がほとんど起こらなかった時期も含めて、発作が起きたときにすぐ飲めるよう、薬だけはずっと持ち歩いてきました
今もそれは変わりません
なぜ片頭痛がここまで軽くなったのか
私は、長年続けてきた治療が、今の状態につながっているのではないかと思っています
片頭痛がひどかった頃、先生にこんなことを尋ねたことがありました
「先生、これは一生続くんですか?」
すると先生は
「そんなことはないと思いますよ。だんだん落ち着いてくると思いますよ」
と話してくださいました
その言葉を聞いて、少し気持ちが楽になったことを覚えています
あれから年月が経ち、私は50代になりました
その間に閉経も迎えています
もしかすると、年齢による体の変化も、片頭痛が軽くなったことに関係しているのかもしれません
実際に先生にも聞いてみましたが、注射による治療が片頭痛の改善につながったのかもしれないし、年齢を重ねたことが関係しているのかもしれない、というお話でした
もし私がまだ40代だったら、今も片頭痛に悩まされていたのだろうか
そんなことを考えることもあります
それでも私は、長い間あきらめずに治療を続けてきたことが、今の自分につながっているのではないかと思っています
『ただの頭痛』と思われてしまう片頭痛
片頭痛は、周りの人にはそのつらさが伝わりにくいものだと感じています
「頭が痛い」と伝えても、誰にでもあることだと思われてしまうことがあります
でも、私自身も長い間、頭痛をそのように考えていました
頭痛くらいで病院に行くものではない
よほどひどくならない限り、薬を飲んで我慢するものだと思っていたのです
小学生の頃、担任の先生から言われた「みんなしんどいよ」という言葉
あの頃の私は、頭が痛くなるのはみんな同じで、みんな我慢しているのだと本気で思っていました
けれど、私の片頭痛は、ただ頭が痛いだけではありませんでした
光や音がつらくなり、ひどい吐き気に襲われ、食べたものを吐いてしまうこともありました
そんなときは何もできず、ただ静かな場所で横になっていたい
それほどのつらさでした
40代になってテレビ番組を見たことをきっかけに、ようやく片頭痛は治療を受けられるものなのだと知りました
そして、実際に治療を続けたことで、私の生活は大きく変わりました
今振り返ると、もっと早く片頭痛について知っていればよかったと思います
頭痛のつらさは、人によって違います
だからこそ、片頭痛をあ『ただの頭痛』と片づけず、そのつらさを少しでも理解してもらえたらと思っています
まとめ
小学生の頃から、長い間悩まされてきた片頭痛
私が本格的な治療を始めたのは、40代になってからでした
今振り返ると、もう少し早く片頭痛について知り、治療を受けていればよかったと思うことがあります
そうすれば、片頭痛に不安を感じながら仕事をしたり、子どもたちの大切な行事に参加したりすることも、もう少し楽にできたのかもしれません
それでも、あのときテレビ番組をきっかけに脳外科を受診し、先生を信頼して治療を続けてきて、本当によかったと思っています
今でも片頭痛がまったくなくなったわけではありません
それでも、以前のように片頭痛の不安に振り回される時間が減ったことを、とてもありがたく感じています
これからも、片頭痛とうまく付き合いながら、自分のやりたいことを楽しんでいきたいと思っています
最後に、長年にわたり私の話に親身になって耳を傾け、治療を続けてくださった先生に、心から感謝いたします