子育て中、突然訪れた失明の危機|40歳で経験した網膜剥離と手術

思うこと、いろいろ

40歳の時、私は突然「このままだと失明します」と告げられました

当時は3人の子育ての真っ最中

毎日、仕事と子育てに追われていた頃です

そんな中、ある朝突然、右目の視野の一部が見えなくなりました

まさかその日のうちに網膜剥離と診断され、翌日に入院・手術を受けることになるとは思っても見ませんでした

この記事では、私が最初に感じた目の異変から、診断、手術、そしてその後の経過まで、実際に経験したことを書いていきます

ある朝突然、右目の視野の一部が見えなくなった

40歳のある朝、いつものように目を覚ました私は、右目の異変に気づきました

視界の一部が見えないのです

最初は、頬に大きなこぶのようなものができて、それが視野を邪魔しているのだと思いました

見えない部分が肌色っぽく見えたからです

慌てて頬を手で触ってみましたが、何もありません

洗面所の鏡で確認しても、見た目にはなんの異常もありませんでした

その時初めて、「これは顔ではなく、視野の一部が欠けているのではないか」と思いました

不思議なことに、痛みは全くありませんでした

かかりつけの眼科を受診すると、すぐに診察室へ

「とりあえず眼科へ行こう」と思い、その日のうちにかかりつけの眼科を受診しました

その日も待合室はたくさんの患者さんで混み合っていました

受付で症状を伝えて待っていると、しばらくして、私より先に待っていた患者さんよりも早く診察室へ呼ばれました

「あれ?もしかして大ごとなの?」

そんな嫌な予感が頭をよぎりました

そして、診察結果は予想以上のものでした

「網膜剥離を起こしています。手術が必要です」

さらに、

「総合病院を紹介しますので、今すぐ行ってください」

と言われました

あまりの突然のことで驚いた私は、先生に尋ねました

「手術を受けなかったら、どうなるんですか?」

先生の答えは、短いものでした

「自然には治りません。このままでは失明する可能性があります」

一瞬、頭が真っ白になりました

当時、私は3人の子供を育てていました

毎日が慌ただしく、自分のことはいつも後回しの生活でした

でも、『失明するかもしれない』と聞いた瞬間、そんなことを言っている場合ではなくなりました

今は自分の治療を最優先にするしかない

そう思いました

突然の手術、子どもたちをどうする?

手術となれば入院することになります

そこで真っ先に気になったのが、子どもたちのことでした

ごはんやお弁当はどうしよう

私が入院している間、子どもたちの生活はどうなるんだろう

いろいろなことが頭をよぎりましたが、まずは自分の治療を優先するしかありません

実家の両親に事情を話し、入院中は子どもたちのことを全面的にお願いすることになりました

職場にも連絡をして、しばらく休ませてもらうことになりました

総合病院で『右裂孔原性網膜剥離』と診断

紹介された総合病院を受診すると、正式な診断名は『右裂孔原性網膜剥離』でした

そして翌日に入院し、手術を受けることが決まりました

医師からは、網膜にできた裂孔(穴)の周囲を凝固し、眼球の外側からシリコン製の素材を当てる方法で手術を行うという説明を受けました

そのシリコン製の素材は、問題が起こらない限り、取り除く必要はないとのことでした

術後に長期間うつ伏せで過ごさなければならない可能性は低いと聞き、少しだけホッとしたのを覚えています

ただ、手術は局所麻酔で行うと聞き、急に怖くなりました

「全身麻酔にはできませんか?」と尋ねましたが、全身麻酔の場合はすぐには手術できないと説明を受けました

網膜剥離は早く治療することが大切と聞いていたため、覚悟を決めて局所麻酔で手術を受けることにしました

手術直前、「左目ですね」と言われてヒヤッとしました

手術当日

手術室へ向かう前に、病室で気持ちを落ち着かせるための筋肉注射を受けました

注射が効いてきたのか、少しぼんやりした状態で、看護師さんが押してくれた車椅子に乗り、手術室に向かいました

そして手術室に入る前、スタッフの方から確認されました

「左目ですね?」

ぼんやりしていた私も、その言葉にはハッとして

「違います!右目です!」

と答えました

その場ですぐに確認してもらい、予定どおり右目の手術を受けることになりました

手術前の左右確認って本当に大事なんだなと、身をもって感じた出来事でした

その後、執刀医の先生からも改めて「右目ですね」と確認があり、ようやく安心しました

局所麻酔での手術

手術は予定どおり、局所麻酔で行われました

麻酔は目の下あたりから注射をする方法でした

注射そのものの痛みはあまり感じませんでしたが、麻酔の液がじわっと入っていくような不思議な感覚がありました

手術中は、明かりの中で何かが動いているのが、ぼんやりと見えていました

先生の手なのか器具なのか、はっきりとはわかりません

ただ、何かがふわっと動いているように見える程度でした

それでも痛みはまったくありませんでした

意識はあるので、先生たちの会話も聞こえていました

眼科の裏話のような雑談も聞こえてきて、思ったよりもリラックスして手術を受けることができました

術後、自然と涙がこぼれた

そして手術が終わり、車椅子で病室に戻る途中のことです

なぜだかわかりませんが、自然と涙がこぼれました

失明を免れたことへの安堵だったのか、無事に手術が終わった安心感だったのか

自分でもわかりません

ただ、心からほっとしたことだけは確かでした

やはり子どもたちが気がかり

病室に戻ると、今度は子どもたちのことが気になりました

手術が終わったら電話をすると約束をしていたこともあり、子どもたちに連絡しようと思いました

病室では他の入院患者さんの迷惑になってはいけないと思い、病室を出て電話をしました

すると、看護師さんから注意を受けてしまいました

今思えば、術後すぐに一人で歩くなんて当然ダメだったのでしょう

でも、その時の私は手術を終えたばかりで、そこまで考える余裕がありませんでした

それだけ子どもたちのことが気になっていたのだと思います

入院中の生活

入院中は目が疲れることもあり、ほとんど寝て過ごしていました

薬の影響もあったのか、とにかくよく眠れました

それまでの仕事や子育ての疲れも溜まっていたのかもしれません

食事の時間以外は、ほとんど眠っていたように思います

私の場合、入院期間は4日間でした

術後の経過は良好だった

幸い視力は回復し、日常生活に大きな支障はありませんでした

ただ、目を横に動かすと引きつるような感覚があり、それに伴って頭痛を感じることもありました

そのため横を見る時は、できるだけ目を動かさず、首ごと向きを変えるようにしていました

私の場合、仕事には退院してから10日ほどで復帰しました

事務作業なので、無理をしなければ大丈夫とのことでした

車の運転を再開したのは、手術から1ヶ月ほど経ってからでした

最初の頃は、左右を確認するために目を動かすと違和感があったため、目をなるべく動かさないように首を大きく動かして確認していました

少しずつ慣れていき、3ヶ月ほど経つ頃には、そこそこ普通に運転できるようになりました

違和感が消えるまで7〜8年

ただ、目を左右に動かした時の引きつるような感覚は、その後も残りました

目を大きく動かした時には一瞬、頭痛を感じることもありました

その痛みや違和感は少しずつ減っていきましたが、完全に気にならなくなるまでには7〜8年ほどかかりました

経過には個人差があると思いますが、私の場合は長かったです

それでも、見えることへの感謝の方がずっと大きかったです

手術後、コンタクトレンズが怖くなった

私は高校生の時から、ハードコンタクトレンズを使用していました

手術後もコンタクトレンズを使用していいと言われていましたが、網膜剥離を経験したことで何となく怖くなり、しばらく眼鏡で過ごすことにしました

目の中にコンタクトレンズを入れることに、抵抗を感じるようになったのです

再びコンタクトレンズを使うようになったのは、それから約10年後

老眼で困るようになり、遠近両用コンタクトレンズを使い始めた時でした

この時のことは、別の記事で詳しく書いています

私が遠近両用コンタクトレンズにたどり着くまで
50代になり老眼が進み、仕事や読書にも不便を感じるようになった私。遠近両用ハードコンタクトを試したものの合わず、最終的に遠近両用ソフトコンタクトレンズにたどり着くまでの体験をまとめました。

原因と気をつけていること

はっきりとした原因はわからなかった

網膜剥離の原因については、手術前に「強度の近視の人は網膜剥離を起こしやすい」という説明を受けました

ただ、私の場合、何が直接の原因だったのかは、はっきりとはわかりませんでした

今振り返ると、20代前半に飛蚊症と診断されたことがあります

網膜剥離が起こる前に飛蚊症が増えることもあるそうですが、今回の発症の前に、私自身はそのような自覚はありませんでした

だからこそ、私にとって本当に突然の出来事でした

網膜剥離は自分と縁がない病気だと思っていましたが、実際に経験して、決して他人事ではないと感じました

私の場合は痛みがなく、視野の一部が見えないという異変が最初の症状でした

異変に気づいたその日のうちに眼科を受診し、翌日には手術を受けることになりました

あの時、様子を見ずに眼科へ行って本当によかったと思っています

今もこうして見えていることに、心から感謝しています

私はこう気をつけています

網膜剥離を経験してから、私は定期的に眼科を受診するようになりました

また、目を強くこすらないことや、見え方にいつもと違う異変を感じたら早めに受診することを心がけています

一度この経験をしたからこそ、以前よりも自分の目の変化を意識するようになりました

50代になった今、思うこと

あれから10年以上が経ちました

子どもたちは成長し、私も50代になりました

老眼に悩んだり、体のあちこちに年齢を感じたりすることもあります

それでも、あの日のことを思うと「今日も見えている」という当たり前の日常のありがたさを改めて感じます

この体験は、10年以上前のことであり、現在は医療技術や治療方針も変わっているかもしれません

実際に治療を受けられる際は、主治医の先生の説明を参考にしてください

それでも、突然視野の一部が見えなくなった時の不安や、手術を終えて自然と涙がこぼれた時の気持ちは、今でも忘れられません

私のことなど覚えていらっしゃらないと思いますが、手術をしてくださった先生をはじめ、お世話になった医療スタッフの皆さんには今でも感謝しています

また、突然の入院にもかかわらず、子どもたちの世話を引き受けてくれた両親にも改めて感謝しています

あの時、たくさんの人に支えていただいたおかげで、今こうして見えている毎日があります

本当にありがとうございました